2025/12/19 12:53

ヴィンテージ家具のメンテナンスを行う前に検証し、作業の順番を確認している事項を残しています。
備忘録も兼ねていますので事務的な文章となってしまうかもしれませんがご容赦下さい。

2025年12月入荷 アメリカ Hooker社のダイニングテーブル



当時のアメリカ製家具の多くはニトロセルロースラッカーという塗料で仕上げられています。この塗料は数十年という長い年月の中で変質します。

  • アリゲーター現象(Alligatoring): 塗膜が硬化しすぎてひび割れ、ワニの皮のような凹凸になること。

  • 熱や湿気への反応: 熱いカップや湿ったものを置いた場所が反応し、塗膜が浮いたり白く曇ったり(ブラッシング現象)します。

  • 油分の分離: 塗料に含まれる成分が表面に浮き出て固まり、硬いブツブツになることがあります。

この個体はまさにこの状態が全て現れており、汚れではなく「塗装そのものの寿命」であるため拭き掃除だけで改善することは不可能です。



今回は以下の方法で修復を行います。

1)剥離(はくり): 剥離剤を使って古いラッカー塗膜を一度すべて溶かして剥ぎ取ります。時間をおきすぎると突板と土台を貼り付けている糊まで剥がれてしまう為、5分おきに確認をしながら作業します。

2)サンディング: 表面を軽く研磨し木の肌を整えます。天板は突板薄い事からサンダーを使用すると削りすぎてしまう事から手作業で研磨します。

3)着色・再塗装: ラッカー塗装は同じ事が起きてしまうため、オイルで着色します。


作業にあたっての注意点

1)古い塗装を完全に除去する

オイルは木の導管に染み込んで固まる塗料であり、表面に少しでも古いラッカーが残っているとそこだけオイルが弾かれてしまいムラ(斑点状の塗り残し)になります。

剥離・サンディング後、水に濡らして固く絞った布で天板を拭いてみて全体が均一に濡れ色になればOK。もし水を弾いて白く浮き出る箇所があればそこにはまだ古い塗膜が残っている状態です。

剥離剤を使った後はラッカーシンナーで表面をしっかり拭き上げ、剥離剤の成分と溶けた塗料を完全に除去します。これを「洗い」といいます。


2)サンディングの加減

オイル仕上げの美しさはサンディングの丁寧さで決まりますが突板はとにかく薄いので注意が必要です。剥離後、まずは180番〜240番程度で表面を整えて、仕上げに320番〜400番で軽く撫でるように磨くと手触りが格段に良くなります。

サンディングブロックを使用し手作業で行います。電動サンダーは削る力が強すぎて一瞬で突板を突き抜けて下地の板を出してしまうリスクが高いです。特に天板のエッジは削れやすいので触れないくらいの気持ちで作業します。

3. オイルを入れた時の色の変化

透明なオイルであっても木に塗ると「濡れ色(濃い茶色)」になります。Hookerの家具はウォールナット材と思われる為、オイルを塗ると深みのある濃いブラウンに変化し美しい木目が浮き出てくるはずです。


4. オイル仕上げの弱点

元のラッカー塗装に比べて「熱と水」にはさらに弱くなります。コップの輪染み(白濁)ができやすくなるためメンテナンスとして数ヶ月〜半年に一度、オイルを上塗りして保護膜を維持してあげる必要があります。オイル調のウレタン塗装というものもありますが当時の雰囲気を損ないますし、それであれば現代の塗装が施されたヴィンテージ風の新品を購入いただいたほうが良いと考えていますので敢えてオイルで仕上げます。

2025年12月19日より作業を開始し、仕上がり次第商品ページにアップします。