2025/12/27 20:06

今回入荷したイタリア・カルテル社の『Miss Trip(ミス・トリップ)』。 稀代のデザイナー、フィリップ・スタルクが1990年代後半に発表したこの椅子はそれまでのプラスチック家具の常識を覆した記念碑的な一脚です。



なぜこの椅子が四半世紀を経た今もなお、世界中のコレクターを惹きつけてやまないのか。その理由を紐解いていきます。

1. プラスチックと木の出会い

1998年、プラスチック家具メーカーの象徴であるカルテル社が敢えて「天然の木」を取り入れて発表したのがこのモデルです。 スタルクは冷たくモダンなポリプロピレンの座面と、温かみのあるビーチ材の脚・背もたれを組み合わせました。一見相反する素材が彼のデザインによって完璧な調和を見せ、どんなインテリアにも馴染むタイムレスな美しさを生み出しています。



2. 合理的なノックダウン構造

ミス・トリップの最大の特徴はその機能性にあります。 脚部は工具を一切使わず手で回すだけで着脱できるネジ式になっています。これは単に組み立てが簡単というだけでなく、スタルクが追求した輸送や収納の効率化という合理的な思想の現れです。
※背もたれはネジによる固定が必要ですが2本だけのシンプルな構造です。

「家具は生活を豊かにする道具である」という彼の哲学がこのシンプルな構造に凝縮されていますね。



3. 計算された座り心地

デザイン性ばかりが注目されますが実は座り心地もいいんです。座面は絶妙な傾斜をしていて手前を高く、奥を低く設計することで座った瞬間に身体が自然に奥へと収まるよう計算されています。コンパクトなサイズながら長時間座っても疲れにくいのは人間工学に基づいたこの繊細な設計によるものです。


4. 27年目のコンディション

今回入荷した個体は座面裏の刻印から1998年製であることがわかっています。 27年前のプロダクトですが当店にて丁寧にクリーニングを施し、当時の清潔感あふれるホワイト×ナチュラルのトーンが鮮やかに蘇りました。 小さな傷はありますがそれは長い年月を大切に扱われてきた証でもあります。

現在は廃盤となり市場でも見かけることが少なくなったMiss Trip。 スタルクの情熱とカルテルの技術が詰まったこの名作を日常に迎え入れてみませんか。
本物のデザインだけが持つ力をぜひご自宅で体感してください。